13/07/2010 | 12:48:00

チェム会館

ハノイの紅河沿いの歴史あるチェム会館。写真:ホアン・クアン・ハー (Hoang Quang Ha)

チェム会館は、ベトナムで最も長い歴史を持つ会館とされている。千数百年前から現在まで、ハノイのトゥーリエム県ドンガック村のホアン集落、マック集落、チェム集落の住民たちが共用している鎮守の社。ここにはチェムの神が奉られている。

チェムはトレム(T’lem)という古いベトナムの言葉を語源とし、621年に設置された、現在のハノイ市のトゥーリエム県に位置していた昔の地域名である。

チェム集落は、剛健な身体、非常な力で紀元前3世紀頃に名をはせたリー・タン(Ly Than)の実名を持つ、リー・オン・チョン(Ly Ong Trong)氏の故郷である。伝説によると、彼はアン・ズオン・ヴオン(An Duong Vuong)王を支援し、侵略軍を一掃したと言われている。

リー・タン氏が亡くなった後、村の人々が彼を奉るための神社を建立し、後に会館として再建された。チェム会館は715年に建設され、当時は「殿」と呼ばれていたという。866年に会館は修復され、リー・オン・チョン像が置かれた。その後、1631年、1773年、1792年、1885年、1902年、1913年に修復作業が行われ、特に1902年には、洪水を避けるために高さ2mの場所に移設された。

会館は「内攻外撃」建築様式を持つ面積約1万㎡の建築物で、ベトナム有数の文化・歴史遺跡でもある。そして際立つものは、紅河の側に堂々と立っている銅製の柱が4本ある正門であろう。会館の中にある柱、屋根は巧みに彫刻されており、また、その奥には高さ3m以上の天王の像と高さ約2.5mのタン国の王女の像がある。また現在、ここには1000年以上の歴史ある珍しい香炉が保管されている。

毎年、チェム祭が姉妹村の3集落(チェム集落が長女、ホアン集落が次女、マック村が三女という位置づけ)の住民たちを対象に、陰暦5月15日から17日にかけて行われている。姉妹村の関係を築いたのは、ホアン集落の守護神になったグェン・ヴァン・チャット(Nguyen Van Chat)氏が、リー・タン氏が率いた使節団に馬の調教師として参加したこと。そして、マック集落がリー・タン氏も奉ることが起源である。

祭りの初めは水取りである。3集落の青年たちが三隻の舟に乗り、チェムの船着場からマック集落の辺りまで行き、水を取り、祭礼に使用する。次に神輿を担ぎ、儀式や鳩離しなどの遊戯が行われる。この祭りに際して、3集落とも水牛や豚、20の籠に相当するもち米から作ったお菓子、40kgの蜂蜜を供える。

このような習慣は、集落の農家が農作物の栽培や家畜の飼育の経験を積むことを促すものとして、考えられている。

チャン・チー・コン (Tran Tri Cong)

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