13/07/2010 | 11:04:00

西湖府(フータイホー)

陰暦の15日にハノイと近隣地方から参拝に訪れる人々。写真:レー・ミン(Le Minh)

西湖府(フータイホー)は、ハノイ市内のタイ湖(西湖)の中心に位置する半島にあり、かつてタンロンの都の古い村に属していたが、現在はハノイ市タイホー区クアンアン地区の名所となっている。

西湖府は西湖聖母府(フーマウタイホー)とも呼ばれ、ベトナムの民間信仰のソン・ティン(Son Tinh)、タインゾン(Thanh Giong)、チュー・ドン・トゥー(Chu Dong Tu)、リエウ・ハイン(Lieu Hanh)の4人の神様の一人であるリエウ・ハイン(柳杏)聖母を祀る神社である。

伝説によると、元々、玉帝上皇の娘であったこの聖母が、天上で上皇の玉杯を壊した罪で天界を追放されてしまったという。そして、下界に降りて各地を旅している際、美しいタイ湖を訪れた。そのまま居ついた聖母は小さな店を開き、日々詩文を作りながら、のんびり暮らしていたとされる。

ある日、後黎朝のフン・カック・コアン(Phung Khac Khoan)上皇は、西湖で舟遊びをする途中に聖母の店に立ち寄った。二人は話が不思議に合い、現在も残っている「西湖御館」の詩を連吟しながら楽しんだという。やがて、フン・カック・コアンが聖母に会いに舞い戻った際、聖母はすでに姿を消していた。フン・カック・コアンは、聖母に出会ったことを記念して西湖府を建設したという。これが西湖府の神秘的な起源となっている。

現在、ハノイ市のタイ湖周辺のヴィラが建ち並ぶ通りに沿い、散歩しながらハス花の香りを胸いっぱいに吸い込み、眺める夕方の美しい景色は何よりも素敵だ。その昔、「金魚の土地」と呼ばれていたこの小さな島が水上に目立ち、「亀が龍の頭と龍の体を背負っている」ような形にも見える。

西湖府の門を通り、柔らかなシルクのような狭い柳の参道に沿っていくと、ソンチャン洞窟の前で珍しく大きな水翁(ベトナム語でヴォイ)が2本、そして古い1本のベンジャミンと出会う。これらの木の太い根が水上に浮かび、鳥たちが巣作りに集まってくる理想的な場所ともなった。このような素敵な景色は西湖府の魅力の一つであり、また、観光客は船でも見物に行くことができる。なお、文化・信仰の特徴あるこの建物は、国家歴史遺跡に公認されている。

陰暦の1日と15になると、ハノイからだけではなく他の地方から数多くの人々が参拝に訪れる。彼(彼女)らは家族のために安全、健康、幸運などを祈願し、このタイ湖の美しさに体感するのである。

チャン・チー・コン (Tran Tri Cong) 

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